今でこそTOEICのスコアはリーディング<リスニングですが、30代前半までずっと、リスニングにコンプレックスを持っていました。
今の会社に入った頃は、TOEICのProficiency LevelはC。
会議に出ても、話者の英語が聞き取れず、自分だけ取り残される辛さ。
わかっているような顔で相槌を打つのは得意だったので、誤魔化しつつ乗り切っていましたが、深い議論に関われない悔しさと無力感。
会社行きたくねー。会議出たくねーよー。(ノД`)
毎日、仕事が終わると、無駄に脳が疲れ果てていました。とことん、効率が悪い状態でした。
でも当時は、どうやったらリスニングが伸びるか、全然わかりませんした。
英語ニュースをつけっぱなしにして、睡眠学習を試みたこともありましたが、伸びず。
TOEICのリスニング教材を浴びるように多聴したりもしましたが、伸びず。
当時通っていた英会話スクールの先生に「映画を英語字幕で観るといいよ!」と勧められてやってみましたが、伸びず。
今考えると、悪い方法ではなかったと思いますが、私自身、やり方が全く分かっていなかったんですね。
漫然と聴いていて、ある日突然、魔法みたいにわかるようになるなんて、あり得ないんです。
こりゃ自分の力ではもうムリだと悟りました。
そして、考えました。
英語を使う仕事の中で、最も過酷な仕事はなんだろう?
それは同時通訳である。
となると、同時通訳になるための訓練は実効性のあるものに違いない。
世の中には通訳を要請する学校があるそうな。
いっちょ行ってみっか。
自分には、ブートキャンプ的な何かが必要だと思っていました。
筋肉をいじめ抜いて、ヘトヘトになって、ボロボロになって、体を鍛えるのと同じような何かが。
そこで地元の通訳学校に申し込み、仕事帰りに通うことにしました。
クラスが始まると、さっそく後悔しました。
毎回大変なボリュームの予習を課されるんです。
会社勤めの身にはなかなかきつい。
それでもなんとかついていったのは「予習をやってきてない人は演習に参加させませんので、他の受講者の邪魔をしないように黙って聞いててください」とさらりと言われてしまうクラスだったからです。
クラスの後は、よく知恵熱出してました。
通訳訓練法、当時は初めてやることばかりで、どれもこれも、脳に負荷がかかる訓練ばかり。
特に私はリテンション&リプロダクションが大の苦手でした。自分の記憶力の衰えに、身震いしました。
*リテンションというのは、話者が話す一まとまりの内容を、訳出するまでの間、記憶しておく訓練。リプロダクションというのは、記憶した内容を再現することです。
通訳訓練法をやってわかったことは、それまで自分が何となくわかったふりしてリスニングしていたことでした。
訓練では、一字一句に向き合うリスニングが求められました。その結果、
- 話のロジックを考えるようになった
- 話者が何を伝えたいかを予測しながら聴くようになった
つまり「リスニングって、英語がわかればできるってもんじゃないんだ」と言うことが腑に落ちたその時に、グンとTOEICスコアが上がったのです。
結果的にレベルCからBに上がることができました。
結局、リスニングも傾聴力、国語力なんです。
どんな勉強も訓練も、自分がやるかやらないかだけの問題ですが、自分のやる気とモチベーションだけでは長続きしないことがあります。
やはり、一番はスクールに行くことをオススメします。
そしてスクールに通うなら、厳しい先生に当たるとラッキーです。
住んでいる場所によっては近くにスクールがない、という可能性もあります。
久しぶりに調べてみたら、私の地元でも、通訳訓練法を教えていたスクールが全て廃業・撤退していました。残念だ・・・。
こうなると、地方住みは独学でやるしかなくなります。
身近な教材で始めたい方には、音声付録つき書籍がオススメです。
私が人生で初めて通訳訓練法に触れるきっかけとなった本は、はじめてのウィスパリング CD付でした。15年以上前の古い本ですが、入門編としてはとても役に立ちました。
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今の私だったらどの本を買うだろう?という目線で探してみたところ、ディーエイチシーから出ているこのシリーズが良さそうでした。
英語リプロダクション トレーニング 短期間で飛躍的に話せるようになる!
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通訳メソッドから必要な訓練を圧縮した4STEP方式で、学習効率向上が期待できそうです。
STEP 1
クイック・レスポンスで、単語・フレーズをアクティブ化!
STEP 2
シャドーイング&リピーティングで、口と耳が英語に慣れる!
STEP 3
サイト・トランスレーションで、文単位で話せる!
STEP 4
リプロダクションで、ストーリーを英語で伝える力が付く!(amazon内容紹介より)
アルクだと通信教育もあります。
私の時代にもしあったら、スクールの前にこっちを受講してたかも。
プロの通訳者も実践する21種類のトレーニングを通して、英語のスキルを総合的に磨ける講座です。付属のCDやDVDを使って実技のトレーニングもできるように工夫を凝らしました。
最後に、本題から逸れますが、関連本で面白そうだったのがこちら。
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英語と日本語を巧みに操る売れっ子同時通訳者―そんなキラキラしたイメージの裏にある、泥臭くてリアルな“通訳男子”の姿を包み隠さず綴った通訳エッセイ。国際会議で、要人会談で、はたまた法廷で目にし、耳にした、現場発の「ここだけ」の話が満載。通訳という仕事のダイナミズムと、ことばを通して人とつながる意義、人と人とをつなげる喜びをたっぷり詰め込んだ一冊です。巻末では、プロ通訳者のノート術(メモ取りの方法)を大公開。通訳志望者・通訳者の実務にも役立ちます。(「BOOK」データベースより)
私なんか通訳道の入り口をちょっと覗かせてもらっただけですが、「あ、自分にはムリだわ」とすぐ悟りました。
訓練によって脳の処理能力はきっと高まると思いますが、常に高負荷がかかっている仕事なので私の脳では耐えきれないだろう、と。
だからこそ同時通訳者の頭の中って、一体どうなってんの?と不思議に思うのです。
次の記事では、英語の勉強のために海外ドラマのセリフを覚えるほど観ていたら、主人公が憑依しちゃった話を書きたいと思います。
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