アラフォーシングルの「人生あと60年。まじで?!」

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【読書感想】デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』

日本大好きな外国人による日本人礼賛、日本人がデレるための本かしらと思っていたら、ぜんぜん違った。

ぜんぜん違った。

これは、日本の横っ面をひっぱたき、シャキッとさせるための本だ。

耳に痛い日本へのダメ出しが後半になるにつれ、どんどん鋭利になっていきます。

しかしそれが、小気味よくもあります。

なぜならば、日本政府や企業経営者に向けての叱咤だから。

我々労働者はどちらかというと、被害者的な位置づけで

「あ、あらそう?私たち優秀なのに低い賃金で働かされて、搾取されてんの?」

てな気分になります。

(これはこれで作者の狙いなのか?)

 

ポイントをまとめると、

  • 人口減少による最悪のシナリオ、日本のデフレリスクは最強
  • この状況を生き延びるには、賃上げをして生産性を上げることが不可欠
  • 日本の生産性が低いのは、人口の割にGDPが少ないから
  • ほっといても賃金は上がらない、最低賃金を上げる政策が必要
  • いろんなことで、日本は潜在能力を十分に発揮できていない、そして発揮できない潜在能力は、存在しないのと同じ
  • しかし諦めるなかれ、まだ勝算はある
  • 高生産性・高所得経済への移行を目指せ
  • 成人の再教育制度が必要、労働者だけでなく経営者も再教育が不可欠

以下、ふーむと思った部分を引用します。

日本の生産性の低さについて

日本の生産性は世界レベルで比べるとかなり低いです。生産性が低いということは、人口の割にGDPが少ないことを意味しています。日本の場合、異常ともいえる少なさです。

2016年のWorld Economic Forumのランキングによると、日本の人材評価は世界第4位です。これは、大手先進国としては最高ランクです。

日本以外の国では、生産性と人材評価の間に強い相関関係があります。また、人材評価と最低賃金にも深い関係があります。しかしながら、日本だけは人材評価が高いのに、最低賃金が低く、生産性も低いのです。異常だと言わざるをえません。

労働者の個人的な事情によって、自分の潜在能力に比較して給与が低い仕事を選択することがあること。(中略)子どもがいたり、親の介護をしなくてはいけなかったりと、普通の労働条件で働くことが難しい場合、その人のもらえる給与が潜在能力よりも低くなる傾向があります。こういった人は労働市場での立場が弱くなりますので、本来の生産性に比べて低い給与で働いていることが報告されています。

最低賃金について

従業員の能力に比べて最低賃金が低いのは、経営者にとっては最高の状態です。

今の日本経済は、国民の能力にふさわしい給与を払う構造にはなっていません。人材の評価は世界第4位なのに生産性は第28位ですから、日本の労働者は世界一搾取されている状況にあります。

企業経営者について

労働人口が半減するのに企業数を維持すれば、人口に占める社長の割合は今の2倍になります。世界的にはこの比率が下がっているのに、日本だけ上げるのは現実的ではありません。果たして、そんな余裕を、誰がどう負担するのでしょうか。

現在の体たらくに、長年の人口増加が生み出した日本の経営者の無能さや国民の甘えが如実に表れています。

研究開発について

日本には素晴らしい研究者がたくさんいるのは、疑う余地がありません。しかし、彼らにより開発された技術が普及し広く使われるようにならなくては、経済合理性があるとは言えないのです。

日本人の特徴について

外国人という立場から日ごろよく感じることなのですが、日本人はいちばんになることを異常に喜び、その実績を日本全体に一般化して、満足してしまう傾向があるように思います。トヨタ自動車がすごいのを、あたかもすべての日本企業の技術がすごいと思い込んだり、特定の職人さんの技術がすごいから、日本人は手先が器用な民族だと安易に信じ込んだり。(中略)思い込んだり、信じ込んだりしている日本人の特徴が、日本人全般に普遍的なものなのか、検証せずに一般化する傾向が強いように感じています。

 

経済のことに疎いので、著者が繰り出す様々な研究・データに目をパチクリさせながら「ほほー!」「なるほどー!」と面白く読んじゃいましたが、出来ればもっと知識を持って、自分の頭で考えられるようになりたいですね。

経済書って、食わず嫌いで読まずに生きてきたけど、私レベルでも読める本があると分かったことは収穫です。

扉が少し開くと、次に読みたい本も出てきました。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話

「とんでもなくわかりやすい」ってのに惹かれるわ〜。

年をとるごとに、難しいことが嫌いになります。

 

あと、自分の頭で考えられるようになるには、選挙に参加して、候補者が何を言っているかをじっくり聞いて吟味するのも良い訓練になるなと思いました。

おりしも週末は統一地方選挙

各候補者の話を聴いて、一票を投じに行きたいと思います。

 

 

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