文筆業の隅っこに身を置いている身として、かなり気になること。
それはAIによる翻訳やライティングが今後どこまで上手くなり、いつ人間が読んで違和感ないレベルに至るかです。
実際、Google翻訳の昨今の進歩には、本当に驚いています。
数年前まではGoogle先生が出してくる訳文に苦笑いしつつ、「やっぱり翻訳は人がやらなきゃねえ」と思ってちょっと安心していた自分がいました。
しかし今やほとんど手直しなしで使える訳文が、一瞬で生成されるのです。
翻訳業は今後どうなっていくのでしょうか・・・
そんな中、非営利研究機関OpenAIが開発した文章生成システムがあまりに上手に文章を書きすぎて、開発者から危険視されるというニュースが報道されました。
OpenAIは、このパワフルな機能の悪用を恐れ、研究を全ては公開しないことを決定したそうです。
詳しくはThe Guardian(ガーディアン)をご覧下さい。
どういうこと?
まとめると、OpenAIが開発したテキストジェネレータ”GPT2”が、まるで真実であるかのような見事なフェイクニュースを仕上げてしまい、開発者をして「こいつはまだ世に出しちゃなんねえ」と思わしめたということらしいです。
GPT2は既存の文章を読み込ませると、次に続く文章を予測して生成することができ、文体も真似ることが出来るそうです。
例えばBrexit(ブレグジット)に関するニュース記事の最初の1文を読み込ませれば、もっともらしい架空の記事を書き、さもメイ首相が語ったようなもっともらしい引用をでっち上げることもできます。
膨大なデータセットを学習しており、入力された文章を構造化し、要約や翻訳などもこなします。
ほんの少しの調整によってシステムは肯定的にも否定的にも文章を書くことが出来、スパムやフェイクニュースなどに悪用される恐れがあるため、研究の全てを世に公開する前にもっと議論する時間が必要であると判断したようです。
いや、どんな不世出の文才よ。
どんだけすごいのか
ガーディアン紙が「最初の数行だけ提供し、GPT2に自身について説明する文章を書かせた記事」なるものを読んでみました。
結果、どこから人間が書いて、どこからAIが書いたのか私にはさっぱりわかりませんでした。
関係者の談話がふんだんに引用され、根拠が引用され、文体も英語ネイティブでない私には十分「ヒトが書いた文章」に見えました。
もしGPT2が日本語の文章を生成できるようになった時、私自身、違和感を持てるのか、それともまったく持たないのか。すごく気になるところです。
個人的にはまだ「無理なんじゃな〜い?」と高をくくっているところがあります。
なにせ、日本語は難しい言語だから。
とはいえ、「日本語は難しい」と言いつつも、日本人自体、正直なところ日本語の何が難しいのかわかっていないし、説明もできません。
その難しさの本質がAIによって説明される日がくるかもしれませんね。
ふと、記事を読みながら思ったのは、このガーディアンの記事自体、本当にヒトが書いているのかな・・・?ってことでした。
もしかすると、私たちが日々読んでいるブログ も実は、すでにAIが書いてたりして。